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原発 : 時を超える風景

否応なく風景を形作る原発
それは時を超えてそこにある

日本には、すでに廃炉が決定したものも含め原子力発電所が59基存在しています。
技術的かつ社会的な問題を抱える原発は、その役割を終えても簡単には解体されず長い年月そこにあり続けます。否応なくその姿は風景を形作るのです。

私は現役記者だったころから原発に関する取材をしてきました。
議論は生煮えのまま深まらず、ときの権力によって翻弄されてきたその存在は、喉に刺さった小骨のように私の心に引っ掛かっています。
原発とは何なのか。
いま、全国の原発の立地地域を巡っています。
改めて原発を風景として表現することで“もの”としてのありようを確認するためです。
本来の姿を浮かび上がらせるため、色彩を排し、精細な描写を欠くヴァンダイク・ブラウン・プリント技法を採りました。
褐色の画面に浮かび上がる原発は現在のものなのでしょうか、それともはるか過去、あるいは未来の姿なのでしょうか。
古典写真技法で表現された原発は、時を超えてそこにあります。

 

 

「原発 : 時を超える風景」概要
原発 : 時を超える風景  GENPATSU : a landscape transcend time
KG+ 2023 (「KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭」連携イベント) 公式プログラム
会期 2023年4月11日〜23日
会場 ギャラリーヒルゲート
京都市中京区寺町三条上ル

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藪田 正弘|Manhatta-n (2021) ~多層の街、その“かたち”を描く~

作品集コンセプト

マンハッタンは夢の地として19世紀から世界中の人たちを引き寄せ続けてきた。高層ビル群が描き出すスカイライン、直角に交差する真っすぐな街路、そこを行き交う車や多様な人々…
100年前の記録映像と現在との乖離は驚くほど小さい。外形だけではなく自由や豊かさ、融合する人種、言語、文化といった無形の要素も脈々と受け継がれ、この街のイメージが形づくられている。 地層のように長い時間をかけて堆積されたこの街のイメージを表現するため古典写真技法のひとつヴァンダイク技法を採った。色彩を省き、褐色の輪郭線によって”かたち”を描くことで街と人を記録した。階段に佇む男やショーウインドウを横切る女、公園の大道芸人ら今を生きる人たちが、層を重ねるこの街に溶け込み印画紙上に再現された。
薬品塗布の刷毛の滑り、露光の微妙な長短など多くの不確定な手作業を経て完成した唯一無二のプリントに時間を超えた“マンハッタン”を定着させた。

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金村 静男

1946年
京都生まれ
2006年
INTEC退任
2017年~
京都造形大学(現・京都芸術大学)写真学科入学
2018 年~2019 年
写真表現大学(大阪府茨木市) 写真研究講座、古典プリント講座 修了
2020 年~
若林久未来のもとで古典写真技法の研鑽に励む
2021 年 10 月
グループ展出展  第1回「Classical photograph の魅力」(大阪市中央公会堂)
他グループ展多数参加

マラソンランナーでもあり、ボストンマラソン・シニア世界2位等数々のタイトルを保持している。
行く先々で写真撮影をする。中でも山岳・モンゴルシリーズが代表作である。

*プロフィール写真はこちらからお借りいたしました。https://weblog.hochi.co.jp/runners/2016/01/post-52b6.html

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